スマートフォン版はこちら

企業を支える法律のプロ集団!法務の主な仕事と向いている人の特徴

img_legal01.jpg

法律の専門性を生かした仕事はいくつかありますが、企業や公的機関などの組織における法律業務を担うのが「法務」です。例えるなら、法務は企業にとって法律面をケアしてくれるホームドクターのようなもの。法律の知識を駆使し、社内外の契約を管理したり、法律に違反したりしないよう、トラブルを未然に防ぐ役割だといえるでしょう。また、クライアント企業とトラブルがあった場合やクレームがあった際の紛争対応も法務の役割です。
法律に関する豊富な知識を要するため、転職の難易度は低くはありませんが、企業の採用ニーズは高まっています。

そこで今回は、法務の概要、知財との違い、仕事内容、向いている人の特徴などについてご紹介します。法務に興味のある方は、ぜひご一読ください。

法務とは

法務とは、企業や公的機関などの組織における法律業務を担う専門家です。契約書を作成したり、特許や著作権を管理したり、消費者やクライアント企業とのトラブルを仲介したりと、あらゆる法律関係の業務を担当します。
また、近年では「コンプライアンス(法令遵守)」が広く呼びかけられるようになり、会社や公的機関で働く方々が法律および企業倫理を守ることへの意義に注目が集まっています。実際、多くの会社でコンプライアンスの体制作りが行われており、研修や社内ルールの明文化などを行っています。コンプライアンスの業務を通して社内の秩序を守ることも、法務の大切な仕事といえるでしょう。

法務は法律に関する豊富な知識が必要で、かつ論理的思考力やコミュニケーション能力などが求められます。これらは、法律の観点から正しい判断を下し、円滑な話し合いを行うためにも必要な能力といえるでしょう。
インターネットの利用が広く普及した昨今、企業内部や消費者の対応などさまざまな情報が拡散され、大きなトラブルに発展するケースが増えています。情報を正しく取り扱うことにより企業の信頼・信用の失墜を防ぐためにも、法務の存在は社会的に重要な役割を果たすと期待されてい ます。

法務と知財の違いについて

法務と知財は業務内容が重なることもあり、正確な違いを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、両者の役割は別物であり、違いを正しく知ることは自身の望むキャリアを明確にするうえで不可欠です。仕事内容とキャリアの視点から法務と知財の違いを解説します。

仕事内容の違い

法務の仕事が「企業や組織における法律に関わること」なのに対し、知財の仕事は「知的財産権の取得・管理業務を担当すること」です。
さらに法務の具体的業務としては、「契約書の作成・確認」「法的紛争の対処」「弁護士とのやりとり」などを行い、企業の事業や取り組みを法律の面でサポートします。
一方、知財の業務は「知的財産権(※1)の出願」「知的財産権の管理業務」などがあてはまり、発明者や開発者の説明を理解し、権利取得に向けた業務を行います。知的財産権があるからこそ、コピー商品や模倣品が横行せず、市場において正しく企業活動を続けることができるのです。つまり、「企業の知的財産を守る」ための知財は、法務と同様、企業にとって重要な立ち位置にいるといえるでしょう。

知財関連の技術契約も、法務部で見ている会社と知財部で見ている会社で分かれます。 また、大手企業であれば、知財専門の部署があることも多いですが、中小企業などでは、法務部が知財の仕事を兼任していることもあります。

※1:知的創造活動によって生み出されたものについて、創作者の財産として一定期間法律上の権利・保護を与える制度。特許権や商標権、著作権などが該当する。

キャリアの違い

法務と知財のキャリアに関しては、企業で働くなら、法務でも知財でも決まった業務だけを担当する可能性は低いといえます。
例えば、配属当初は書類作成業務から始まりますが、徐々に契約内容のチェックや法律相談への対応などさまざまな業務を担当する可能性が高いでしょう。役職があがれば営業とともにクライアント先に同行したり、契約交渉の場に参加したりといった機会が増えるかもしれません。

法務として、より専門性の高い業務に携わりたい場合は、弁護士の資格を取得してキャリアアップすることも可能です。しかし、資格の有無が全てではなく、堅実に業務をこなしていくうちに高く評価されることもあります。そのため、資格を生かしてどのような業務をするかが重要だといえるでしょう。

知財の場合は、法務と比較すると専門性が高く、理系出身の技術者の方も多いでしょう。特許出願や権利化の業務がメインで、特許になりそうな発明を見つけだしたり(発明発掘)、発明提案書を元に特許明細書を作成し、出願を行ったりします。各種の権利関係の管理業務など一連の業務を滞りなく行えるようになるとマネジメントの業務も任されるようになるでしょう。

さらに知財を専門的に極めたいという方は弁理士を目指し、特許事務所へ転職を希望する方もいます。弁理士になるには5年以上かかるといわれているので、弁理士を目指すなら20代のうちに、と早めに行動を起こす方も多いでしょう。もちろん弁理士の資格を持った上で企業に勤めるという選択肢もあり、長く働き続けることで役職につくことも可能です。

自分の目指すキャリアはどこにあるのかをよく考えて進むべき道を選ぶとよいでしょう。

法務の主な仕事内容

法務の仕事内容は、主に以下の5つに分類できるでしょう。

契約・取引法務

契約・取引法務の業務では、売買契約や業務委託契約、秘密保持契約、M&Aに関する契約などを交わす際の契約書の作成と、契約の条項に法的な問題がないかを確認します。例えば、「契約文言が明確に記されているか」「関係法令に違反していないか」「リスクを負う内容になっていないか」など、将来的にトラブルに発展しそうな契約になっていないかを細かくチェックします。

機関法務

会社法の知識を用いて、株式会社の意思決定機関(株主総会や取締役会など)の運営業務や、定款(ていかん※2)の変更および発行、組織事項の変更にともなう業務を行います。また、新規事業の立ち上げに際して子会社を設立するケースも増えていますが、会社のルールに則って子会社の設立手続きを行うのも法務の大切な役目です。

機関法務は、会社によっては総務部で担当していることも多く、法務部なのか総務部なのかでキャリアパスが変わることになります。

※2:組織活動について基本的な規則を定めたもので、会社の憲法とも呼ばれるもの。会社の商号や事業内容、本店所在地、株式の内容、事業年度などが記載されている。形式的には、規則を記した書面や記録媒体(フロッピーディスクなど)に保存された情報を指す。

コンプライアンス法務

法務は、企業の信頼性を維持するために、社員へのコンプライアンスの周知を徹底して行い、法律遵守のためのサポートをします。例えば、法務研修の実施、研修メニューの構築、法律相談窓口の運営、マニュアル作成など、あらゆる面からコンプライアンス遵守を働きかけます。

紛争対応法務

上記3つの業務はトラブルを未然に防ぐものですが、紛争対応法務はトラブル「後」に行う業務です。例えば、クライアント企業とトラブルになり「自社が原告となり訴訟を起こす」「提起された訴訟に対処する」といった場合の業務です。仮に訴訟に発展した場合、弁護士と協力して証拠を集めたり、書面を作成したり、証人との調整を行ったりするのも法務の役割です。また、相手方と交渉して訴訟の回避に努めることもあるでしょう。

国際法務

海外に拠点を設ける場合、現地の法律や商いの慣習、文化になじめるように企業活動をサポートします。具体的には、税制度や会計基準、会社設立手続きで日本と異なる仕組みに対応する業務を行います。

その他にも、事業立ち上げや運営上で、行政に対して業法周りの対応を行うこともあります。薬機法、資金決済法、独禁法、景表法といった様々な法律の知識も必要です。

法務の1日のスケジュール

法務の業務は、ほとんどが書類作成などの事務作業で1日の多くを自分のデスクで過ごすことも珍しくありません。しかし、打ち合わせや会議がある場合は法務部以外との連携が必要なため、スケジュールが流動的になるでしょう。

では、具体的に法務はどのようなスケジュールで1日を過ごしているのでしょうか。その一例をご紹介します。

8時(出社) 今日の予定とメールをチェックし、重要な案件があればすぐに対応します。
8時30分(朝礼) 新商品の情報や業務の進捗状況を確認します(消費者やクライアント先との間で起きているトラブルの情報を共有することもある)。
9時(業務開始) 営業担当者から受けた「契約内容に関する相談」に対し、アドバイスを行います。
12時(お昼休憩) 1時間ほど休憩。
13時(契約書のチェック) クライアント先と交わす契約書を一言一句チェックします。
15時(社内ミーティング) 契約内容の問題点や解決策について話し合います。
17時30分(変更点のまとめ) 社内ミーティングで決まった変更点をまとめたら、契約書に反映させます。
18時(翌日の準備) 明日のスケジュールを確認し、必要があれば資料などを準備します。
18時30分(退勤) 仕事が終わったら退勤します。定時で帰れる日もありますが、契約期日の直前は忙しくなるため残業することもあります。
8時(出社) 今日の予定とメールをチェックし、重要な案件があればすぐに対応します。
8時30分(朝礼) 新商品の情報や業務の進捗状況を確認します(消費者や取引先との間で起きているトラブルの情報を共有することもある)。
9時(業務開始) 新商品の情報や業務の進捗状況を確認します(消費者や取引先との間で起きているトラブルの情報を共有することもある)。
12時(お昼休憩) 1時間ほど休憩。
13時(契約書のチェック) 取引先と交わす契約書を一言一句チェックします。
15時(社内ミーティング) 契約内容の問題点や解決策について話し合います。
17時30分(変更点のまとめ) 社内ミーティングで決まった変更点をまとめたら、契約書に反映させます。
18時(翌日の準備) 明日のスケジュールを確認し、必要があれば資料などを準備します。
18時30分(退勤) 仕事が終わったら退勤します。定時で帰れる日もありますが、契約期日の直前は忙しくなるため残業することもあります。

法務に向いている人の特徴とは

法務として働く上で「法律に関心がある」「法律の知識を相応に備えている」という資質は必要だといえるでしょう。しかし、それ以外にも以下の特徴を兼ね備えた人は法務に向いているといえます。

学習意欲が高い

好奇心があり、学習意欲が高い人は法務に向いています。法律は専門性の高い知識が必要で難解なものもあります。また、法律が改正されると、その都度新しい知識を吸収しなくてはなりません。法律に関する情報を検索したり、書籍を読んだり、セミナーに参加したりと、自分から積極的に知識を求め続けることが重要だといえるでしょう。

細かい作業を地道にこなせる

細かい作業を地道にこなせる人は、法務に向いているでしょう。例えば、契約書は一語一句、間違いがないようにチェックしなくてはなりませんし、言葉の表現一つでニュアンスが変わってしまうこともあるため、慎重に業務を行う必要があります。
企業経営の根底を支えている裏方の仕事ではありますが、コツコツと真面目に業務に徹することができる方は、法務として望まれる人材になれるでしょう。

正義感が強い

法務は正義感のある人が向いているといえるでしょう。企業の信用や信頼を守るために、コンプライアンスを強化していくことが望まれる昨今では、正当な方法で交渉や説得できなくてはなりません。
立場が上の人からの指示や会社の利益のためであっても、粉飾をすることは絶対に許されません。会社のため、また働く従業員のために、正しい判断を下せる正義感の強さが重要だといえるでしょう。一方で、あくまでも事業会社の法務部ですので、「ただ白黒はっきりさせて終わり」ではなく、法律の範囲の中で、既存事業を拡大・新規事業立ち上げなど、経営的側面でアドバイスできる人は会社にとって重宝されること間違いなしです。

法務に求められるスキル・資格とは

以下では、法務に関連するスキル・資格についてご紹介します。

法務に必須の基礎スキル

企業経営に重きを置いて法務に必要なスキルを考察すると、基礎から応用まであらゆるスキルが見えてきます(ビジネスの基本的な構造理解や事務系の処理能力など、そもそも必要なスキルは除く)。

基礎的なスキルには、例えば以下のものがあげられます。

  • ・法律に関する理解力
  • ・情報収集力および分析力
  • ・文章および草案の作成能力
  • ・倫理観
  • ・統率力(リーダーシップ)
  • ・コミュニケーション能力
  • ・全体を見通し解決案を提示できる柔軟性とバランス感覚
  • ・対外交渉力(外資系なら語学力も含む)

法務職の場合、会社全体のコンプライアンスを徹底するという課題があり、ときには先頭に立って解決を目指さなくてはなりません。そのため、ビジネスパーソンとしてあらゆる方面の能力を身に付ける必要があります。その上で、前述したスキルを応用した以下の能力を身に付けることで、会社に必要とされる人材になれるのです。

  • ・戦略性(経営上のリスクを分析・低減するために提案する)
  • ・防御性(違反行為やイレギュラーが発生したとき、企業価値が下がるリスクを防止する)
  • ・創造性(法律の意味を広く解釈し、自社にとって有利な法解釈とルール変更を行う)

単純な法律知識は、法務職員であればあって然るべきでしょう。しかし、それを応用レベルまで発展させ、会社の利益の最大化・リスクの最小化を目指せることが、法務担当者に求められるスキルといえるのではないでしょうか。

法務のキャリアに有利な資格

法務の転職に有利な資格として、弁護士や司法書士などの国家資格があげられます。
しかし、国家資格は難易度や専門性が高いため、民間の資格や法務職に生かせる検定もチャレンジしてみることをおすすめします。

例えば、東京商工会議所が実施している「ビジネス実務法務検定」は、法務部門に限らずビジネスの場で必要な法律の知識を身に着けることができます。1級レベルとなると、法務へ転職の際も大きなアピール材料となるでしょう。また、「ビジネスコンプライアンス検定」や「個人情報保護士」「ビジネス著作権検定」なども取得しておいて損はない資格といえます。法務に生かせる専門知識を身に付けられますし、資格があることで法律に関する一定の知識を得ている証明にもなるでしょう。

資格のほかに、法務の仕事に役立つ技術や考え方を取り入れておくことも重要です。
現在、法務や経理や人事などのオフィスワークを中心にIT・AIの導入が進んでいます。法務に関しては、リーガルテック(※3)に参入する企業が増えていることから、法務業務にも大きな波がやってこようとしています。ITリテラシーを高めるとともに、AIの基礎知識を学んでおけば、社会の変化にもいち早く対応できるでしょう。

また、リーガルテックを想定した上でできること、できるかもしれないことを提案・実践できれば、業務において高い評価を得られるでしょう。法務の知識だけに依存するのではなく、幅広い知識を有することで「有能な人材だ」と認められるかもしれません。

近年は、海外の企業と取引を行う日本企業も増えており、英語で契約書を交わすことも一般的になってきています。会社にとって不利益にならないよう契約書を作成・確認する法務にとって、語学力は立派な武器になるといえるでしょう。 今後、法務への転職を検討している方は、法務スキルを身につけたり、語学力を磨いたり、実務経験を積んだりして自身の価値を高めていきましょう。

※3:法律または法務(リーガル=Legal)と技術(テクノロジー、テック=Tech)を合わせた造語。法務業務におけるさまざまな課題を解決するため、AI(人工知能)を含む多くの技術の力を使い、裁判や契約に関する事務作業の効率化を図ること。

法務の年収はいくら?

法務の年収は、基本的にほかの職種と大きな差はありませんが、会社の規模や経営状態によって金額に開きがあります。目安としては20代後半で500万円ほどです。マネジメントの経験をつんだり、専門的なスキルを身につけたりすると700~900万円ほどまで年収が上がる可能性があります。
専門性の髙さやグローバル人材としての活躍を評価する外資系企業へ転職・就職したりすると 1000万円を超えることもあるでしょう。

法務への転職を決めた方のなかでも、とくに年収や平均給与が高い傾向にあるのは、年齢が30代〜50代です。また、M&Aにかかわる経験を持っている方や士業の資格を持っている方、語学力に優れている方も年収や平均給与が高い傾向にあるでしょう。

まとめ

法務の仕事は、契約書の作成やチェック、紛争対応など、法律をはじめとする専門的な知識が必要なものばかりですが、企業を支えるやりがいのある仕事だといえるでしょう。性格的に向いていれば一生の仕事になりますし、スキルを身に付け、実務経験を積むことでキャリアアップも目指せます。 また、ITやAIなどの法律以外のスキルを高めれば、法務も含めた広いフィールドで自分の力を試すこともできるでしょう。法務の仕事に興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。

パソナキャリアでは、専任のキャリアアドバイザーがあなたに合った求人情報をご紹介します。詳細な企業情報を豊富に揃えているので、あなたと相性の良い企業がきっと見つかるはずです。応募企業を検討したり志望動機を考えたりする際は、情報提供などのお手伝いをいたします。応募書類の添削や模擬面接も個別に実施しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール

キャリアアドバイザー 堀江 彩佳

入社以来、一貫して人事や総務、法務、経理といった管理部門領域のキャリアアドバイザーとして活躍。若手からエクゼクティブまで、幅広いサポート実績を誇る。
国家キャリアコンサルタント資格保有者としてきめ細やかな支援を行うかたわら、チーム長としてマネジメントを担当。


キャリアアドバイザー紹介ページはこちら>>