Uターン転職のメリット・デメリット　後悔しないための必要な準備とは？

自然豊かな地方に移住し、仕事とプライベートの両方を充実させたい。自身が育った、あるいは思い入れのある土地に根を下ろし、やりたい仕事を続ける。
地方移住を伴う転職にはいくつかの種類があります。

1.Uターン転職

Uターン転職とは、進学や就職で生まれ育った故郷から離れて、仕事、生活をしていた人が、再び故郷へ戻って働くために転職をすることを言います。

2.Iターン転職

Iターン転職とは、生まれ育った故郷を離れて、別の地域に移住して働く転職になります。例えば、都心部出身者が都心で就職をした後、地方へ移住し転職をするなどです。

3.Jターン転職

Jターン転職とは、進学や就職で生まれ育った故郷を離れて働いていた人が、故郷とは別の地方へ移住し転職をすることをさします。実家付近では、交通や仕事の利便性が低い時などに、急遽、親の介護が必要になったといった際にすぐに駆け付けられる距離の場所で暮らし、仕事をするといったようなケースです。

IターンやJターンは、これまで暮らしたことのない街へ移住しての転職です。
一方、Uターンは、自身が生まれ育った故郷へ移住しての転職となります。家族や知人が暮らし、移住後の生活を想定できるからこそ、比較的安心して転職へと踏み切ることができます。ここでは、Uターン転職のメリットをご紹介します。

リモート業務などが進んで、活動拠点を移した企業も

リモート業務システムの普及、政府による働き方改革の流れもあり、企業の勤務形態は変化しています。また、地方都市へ本社（活動拠点）を移している企業も増え、地方での求人、職業選択の自由度が上がっているとも言えるでしょう。

結婚や子育て、介護などライフプランも大切にできる

結婚を機にマイホームを購入したい、自然豊かな環境で子育てをしたい、年を取った両親が心配などの理由から、ライフステージの変化に伴いUターン転職に踏み切る人も少なくありません。
地方では、通勤ラッシュがなく、車通勤が認められている企業であればドアtoドアで職場と家を行き来できることもあり、働きながら、家庭や子育て、介護などの私生活も大切に、生活環境を整えやすいこともメリットの一つと言えます。

住居費、生活費を抑えられる

地方は、都市部に比べて物価も安く、住居費や生活費などの支出を抑えられます。特に住居費には大きなメリットがあり、都心のアパートに支払う価格と同程度の支出で、庭付きの一戸建てを借りることも可能です。自宅の庭で家族やペットとの時間を持つことができ、家庭菜園を始めるなど地方ならではの暮らしを楽しむことができるでしょう。

地元に貢献できる

何年離れていても、故郷は自分を育ててくれた大切な場所です。都市部に比べて人との距離が近い地方では、人とのコミュニケーションを大切にしながら、ご近所付き合いや地域活動に参加することができます。特に地方では高齢化が進んでいる地域も多く、若い世代の力が必要なシーンも少なくありません。 また、自身の身につけたスキルやキャリアを生かし、仕事を通じて地域社会に貢献できるのも、Uターン転職の魅力の一つです。

自動車通勤ができる

地方の企業では、交通機関が発展していない勤務地もあり、自動車通勤の形をとる人が多い職場もあります。さらに職場周辺に生活拠点を構えることで移動時間の短縮ができるため、満員電車や長距離通勤のストレスから解放され、日々の生活に余裕を持つことができます。通勤時間が短い地方では、朝から趣味や運動の時間を確保でき、車を使っての生活スタイルが確立されているため、買い物時に重たい荷物に悩まされることもなく、無理のない生活スタイルを確立できます。

自治体による就職支援、補助金も

自治体によっては、別の地域からの移住者を歓迎している地域も多くあります。UターンやIターンを推進している地域では、Uターン転職者に補助金が出たり、移住者へ特別価格で住居などの提供をしてくれたりするケースも珍しくありません。生活を整えるための資金サポートのみならず、生活にまで支援の手が届いているとなると、移住やＵターン転職へのハードルも低くなるのではないでしょうか。

メリットの多いUターン転職ですが、中にはUターン転職に失敗した、後悔しているといった声も聞かれます。移住後に後悔することがないよう、どんなデメリットがあるかを理解した上でUターン転職へと踏み出しましょう。

求人数や仕事が限定される

近年では、大手企業や有名企業の地方採用枠なども増えてはいるものの、やはり都市部に比べると、求人数や職種の幅は多くはありません。自身のスキルを生かせる企業が地元にあるのか、その企業は自身に合っているのか、採用のチャンスがあるのかなどをしっかりリサーチする必要があります。

独身でなければ、家族の同意は必須

Uターン転職を望む人の中には、既に家庭を持ち、現在生活している地域に家族の生活が根付いているケースもあります。配偶者が仕事をしている、子どもが学校に通っているといった場合は、生活圏が大きく変わるため家族の同意が必要となり、自身の希望だけではUターン転職を決めることはできません。特に、配偶者と自身の地元が違うケースでは、どちらの地元へUターンするのかといった調整も必要となります。
また当然のことながら、移住するための引っ越しにかかる費用が必要となります。自治体から補助金が出る場合は良いですが、金銭的な支援がない場合は、引っ越しに伴う支出が一時的にかかります。

交通や買い物の利便性が下がる

地方での生活では、公共交通機関の選択肢が少ないエリアも多く、徒歩圏内にスーパーやコンビニがあるという家は多くないため、車を持っていないと不便に感じることもあります。生活圏や職場周辺に、どんな交通機関やお店があるのかなどは、確認しておく必要があります。

年収が下がる

物価や家賃が低いのは、地方移住のメリットである一方、物価に比例して賃金が下がることも予想されるため、これまでの年収に比べて収入が減る可能性もあります。ライフスタイルを重視した暮らしを求めるのであれば、ある程度の年収低下も許容する必要があるかもしれません。

地方ならではの慣習や近所付き合い

地方には、その土地ならではの慣習や文化が色濃く残っている地域もあります。子どもの頃に慣れ親しんでいた慣習であっても、一度故郷を出たことで地方の慣習や人間関係を煩わしく感じてしまう人もいるものです。人との距離が近く支え合って生活できる反面、その距離感にストレスを感じてしまうというデメリットもあります。

Uターン転職はそのメリットとデメリット双方を良く検討したうえで、判断することが必要です。

Uターン転職する覚悟は決まった、その後の、転職活動の進め方を見ていきます。効率的な進め方や、実際に困難に感じるポイントをご紹介します。

地域の情報、地域の求人情報収集はしっかりと

Uターン転職活動を始めるに当たり、最も大切なのが「情報収集」です。
在職中であれば、何度も直接地元に出向いての転職活動が難しい分、事前の情報収集は丁寧に行う必要があります。転職先の求人事情はもちろんですが、生活をするために必要な物価や家賃の相場、各自治体の支援サービスの内容、実際の生活についてもできるだけ多くの情報を集めることが求められます。家族がいる場合は、子どもの新学期などのタイミングも考えての情報収集、スケジュール組みも大切です。
全国展開している企業の中には採用活動自体は都市部で行ってくれる企業もあります。
どんな情報があるか一度見てみるのも良いかと思います。

転職活動にかかる費用

Uターン転職活動では、リモート面接が可能な企業も多くありますが、最終面接や顔合わせといったタイミングで対面の面接を求められるケースもあるでしょう。対面面接が実施される場合や、情報収集のために現地に出向くなど、転職活動期間中に地元へ足を運ぶことも考えられるので、通常の転職活動に比べて交通費などの支出が多くなります。また、在職中であれば、現地へ出向く際に、仕事を休むなどの調整も必要です。

転職活動は、辞めてからのほうがいい？引っ越しを伴う転職

前述のとおり、通常の転職活動と比べて転職活動のステップが多いUターン転職では、「辞めてからの転職活動のほうが進めやすいのではないか？」と考えてしまいがちですが、これは逆に大きなリスクとなります。移住後に思うように仕事が見つからず妥協してしまう、といった失敗に繋がらないよう、調整が大変でも在職中の転職活動がおすすめです。

また引っ越しや住居の手配、子どもの学校などと転職のタイミングを合わせることも大切です。内定が決まったのに、初出勤までに転居が間に合わないということがないよう、面接の段階で入社時期の相談をし、内定が決まったらすぐに動き出せるようスケジュールを立てておく必要があります。

Uターン転職を成功させるためには、転職したい理由や目標、キャリアプランを明確にすることが大切です。成功のポイントを押さえて、焦らず自分に合った企業を探しましょう。

Uターン転職で準備しておきたい3つの理由

通常の転職とUターン転職の大きな違いは、仕事だけでなく、生活環境にも大きな変化が伴うことです。企業は、応募者が本当にその地域に合っているのか、転職後にすぐに辞めてしまわないかといった、仕事以外の側面も含めて評価を行います。
そのため、企業に対して明確な

1. 1. 転職理由
2. 2. Uターンの理由
3. 3. その企業でないといけないという説得力のある志望理由

が必要となります。

今後のキャリアプランや、目標を明確に

ライフステージの変化に伴いＵターン転職をする場合、キャリアや収入などの条件が現職を上回るとは限りません。役職や年収などの条件にこだわり過ぎず、生活環境や家族との時間など、転職を決めた理由を考慮し、長期的な視点でキャリアプランを作成しましょう。

企業側は人材のミスマッチを防ぐため、応募者が一時的な感情ではなく、長期的にその地域に腰を据える覚悟を持っているかを評価します。企業へのアピールでは、短期的なビジョンだけでなく、長期的なビジョンを掲げておくのもおすすめです。

焦らずに条件に合う会社を見つける

地方では、都会に比べて仕事の選択肢の幅は狭まります。これまでやってきた職種や業種、キャリアを生かす仕事が見つからないといったケースも少なくありません。地元の企業に転職するのか、有名企業の地方拠点に転職するのか、地元を拠点にフルリモートで働くのかと、さまざまな方向から自分に合う企業や就業形態を見つけていきましょう。

移住後に会社を辞めることになっては、自身にとっても大きなリスクとなります。慌てて決めて失敗した、とならないよう、納得のいく企業を見つけることが大切です。

Uターン転職時に作成する履歴書や職務経歴書では、一般的なキャリアアップ転職と違い「自己PR欄」に記載する転職の理由・志望の理由を明確にしなければなりません。どんなことに注意しアピールすれば良いでしょうか。例文とともに書き方のポイントをお伝えします。

＜転職理由＞

転職理由では、なぜ都心を離れてUターンをするのか、どのような覚悟を持ってＵターンを決断したのか、偽ることなく現状を伝えることが大切です。地元への愛着、両親の介護、子育て環境などの理由とともに、地元に戻ってからの明確なビジョンをアピールし、長期的に企業、地域社会に貢献する覚悟を持っていることを伝えましょう。

＜志望理由＞

志望理由では、企業が力を入れている業務や製品に対する貢献度や熱意をアピールし、自身のキャリアプランに合致していること、大切な地元の企業で長期的に貢献したいこと、その企業に必要な人材であることなどを、自身のキャリアや実績とともにアピールしましょう。

Uターン転職の面接では、企業への情熱や熱意といったアピールのほか、地元に戻るメリットやなぜUターン転職が必要なのかといったポイントを説明する必要があります。全ての項目を網羅し、簡潔にアピールポイントを伝えられるように準備をしておきましょう。

会社や職種に対する情熱や意欲をアピールする

Uターン転職の面接では、Uターンの理由を伝えることも大切ですが、忘れてはいけないのは企業や職種に対するアピールです。通常の転職活動と同じく、なぜこの会社でないといけないのか、数ある求人の中でなぜこの企業に応募したいのかといった、企業への想いや意欲をアピールすることは必須です。企業の社訓や志望する職種についてしっかり把握し、ここで絶対働きたいという熱意を伝えましょう。

地元に帰ってくることで得たメリットやアドバンテージを説明する

Uターン転職の場合、応募者がなぜ地元に戻ってきたいのか、自社で長く働けるのかといったポイントを重視して評価をします。面接では、地元での経験や親族との関わりなどをアピールするなど、Uターンが必要な理由を明確にし、自身にとってUターンにどのようなメリットがあるかを伝えられるようにしましょう。生活環境などの大きなメリットに加え、志望企業で働けることが何より大きなアドバンテージであることも伝えます。

現在の職場との違いや、Uターン転職の意義を説明する

現在の職場での就業状況や生活環境などを踏まえ、Uターン転職後には自身にとっても企業にとってもアドバンテージとなる変化が生まれることをアピールしましょう。ただし、現在の職場に対してのクレームやネガティブな意見は、面接官の心証を損ねる危険があるため、控えるようにします。

地方への移住は定年を迎えた年配者が多かった時代を経て、現在では20代30代の地方移住希望者が増加しています。地方移住やUターン転職の理由は年代によってさまざまであると同時に、企業側が転職者に求めるスキルもまた、年代別に変わります。自身が企業に求められているものは何かを理解し、アピールしていくことが大切と言えるでしょう。

20代は、求人状況をしっかり調べる

地方企業にとって20代はフレッシュな人材を採用できるチャンスではあるものの、キャリアや経験が浅く、業務上の評価においては30代に劣ってしまう部分があるのは否めません。自身が企業の求める人材に合致しているかを見極め、地元への愛着の強さや、長期的なキャリアビジョンをアピールすることで採用への道筋を作ります。企業にとってあなたを採用することは、将来的にメリットになると感じてもらえるよう、努力をしていきたい業務や目標としているポジションなどを具体的に伝えましょう。

30代は、自分のスキルや経験で地域に貢献

30代での転職では、これまでの経験やスキルを生かした即戦力としての活躍が期待されます。専門性の高いスキルや、今までの実績などをアピールポイントに、応募企業や地域でどのように貢献していけるのかを伝えましょう。スキルやノウハウだけでなく、チームリーダーなどの実績も大切な評価ポイントとなるため、具体例を挙げて貢献度や入社意欲を伝えます。

40代はスキルとキャリアの構築をしっかり

40代での転職は、地方だけでなく、都会でも採用基準が厳しくなる傾向にあります。40代から新しい職種にチャレンジすることは難しいため、これまでの職種で培ったスキルやキャリアや、マネジメント経験などを武器に、20代・30代に負けない強みをアピールしていきましょう。
また、業界内でこれまでに培った人脈は、自身の強いアドバンテージとなります。応募企業で生かすことのできる人脈があれば、積極的にアピールしていきましょう。

Uターン転職は、通常の転職と違いさまざまな角度からのアプローチが必要です。Ｕターンしたい地方に自分に合った求人があるのか、遠隔の活動で企業情報は十分に得られるのか、転居や引っ越しと転職のタイミングは問題ないか、自治体などの支援はあるのかといった、成功のためのいくつものチェック項目があります。現職での業務をこなしながら、個人でＵターン転職をするのはなかなか大変です。時間をかけて綿密なスケジューリングが必要なＵターン転職は、地方への転職に特化している転職エージェントに相談することをおすすめします。