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【転職最新動向:監査法人・FAS業界】監査法人・FAS業界への転職はタイミングも重要。望むキャリアに合わせ、積極的な勉強や情報収集が必須

【転職最新動向:監査法人・FAS業界】監査法人・FAS業界への転職はタイミングも重要。望むキャリアに合わせ、積極的な勉強や情報収集が必須

有効求人倍率が高い水準で推移し、景気は好調と言われる今、監査法人・FAS業界(*1)の転職市場にはどのような変化があるのでしょうか。監査法人・FAS業界への転職希望者の支援、および企業の中途採用支援を担当しているパソナキャリアのキャリアアドバイザー・佐藤 陽香に、同業界の転職動向について聞きました。

*1 主にM&A・事業再生領域のコンサルティングファームを指す。

プロジェクトベースで案件が動くので、転職するにはタイミングが重要

―監査法人・FAS業界の現状について教えてください。

佐藤:活況ですね。景気がいいのはもちろんですが、AIやIoTなど、今までなかった最新技術が続々と生まれていく中で、それらと絡めた新しいビジネスができたり、既存企業が新たな領域に参入したりと、事業の多角化・変革が進んでいます。そこに対して、「第三者の専門家」としてのコンサルタントのニーズが増えているのを感じます。私が担当している企業ですと、特に各種規制への対応やM&A領域の部門でのニーズが高く、その分野を扱っている企業の採用意欲は非常に旺盛です。

―転職者側の動きについてはいかがでしょう?

佐藤:こちらも活況です。コンサル・M&A・監査未経験の方からの応募依頼も多く、例えば留学してMBAを取得してから転職をしたいという方もいます。留学中にご相談をいただき、リモートでカウンセリング、あらかじめ求人もご紹介し、メールで履歴書や職務経歴書の添削を行い、帰国のタイミングに合わせて本格的な応募サポートをスタートすることもあります。特に経営コンサルタントや戦略コンサルタントとして転職をご希望の場合、フェルミ推定やケーススタディなど、特殊な対策が必要になりますから、あらかじめ資料を提供し、準備していただいたりもします。

ちなみにここ最近、コンサルティング業界に関心を持たれる金融業界出身者、特に銀行出身の方が増えているのを感じます。近年は新卒の採用人数を抑制したり、業界再編に関するニュースが目立ったりと、「このまま今の会社で働き続けられるのか」と業界の行く末を懸念してご相談に来られるようですね。銀行勤務の方は、第三者の立ち位置で企業の与信や融資の判断をしたり、場合によっては経営不振の会社に対して提言するような業務を行ったりもしているので、業務内容に親和性を感じ、コンサル業界に関心を持たれるのではないでしょうか。FAS業界には、ファイナンス領域でのキャリアを専門的に特化させたいというご意向の方が多いです。

―未経験者の募集は多いのでしょうか?

佐藤:はい、未経験者の募集も多いです。ただし、監査法人やFASの採用要件は、部署や時期によって異なるケースがあります。具体的な時期の話をしますと、年度の初めは第二新卒の若手や未経験者を採用して育てるポテンシャル採用も多く見られますが、年度の後半になるに従って要件は厳しくなり、即戦力を求められるケースが増えていますね。

また事業会社と違い、プロジェクトベースで仕事が進むので、受注しているプロジェクトの状況によって採用の温度感が大きく変わるのも、業界ならではの特徴と言えますね。例えば、同じ部門の募集でも、獲得しているプロジェクト次第で、これまでは採用しなかったようなバックグランドの方の採用を強化することもあります。

パソナで監査法人・FAS業界を担当するキャリアアドバイザーは、基本的に企業担当も兼任しているため、各担当ファームに「どのような案件が活況なのか」「どの部署で採用を行っているのか」を伺い、最新の採用状況を常に把握しています。企業から直接聞いた生の声を転職者にもお伝えし、最適な転職のタイミングをお知らせできるのが強みですね。「転職のタイミング」は、監査法人・FAS業界の場合、特に重要です。

業務に親和性のあるコンサルティング業界からの転職でも、「未経験候補(=ポテンシャル考慮)」とみなされてしまうケースも。

―コンサルティング業界から監査法人・FAS業界へ転職は可能なのでしょうか?希望される方も多そうですが……。

佐藤:コンサルティング業界から監査法人・FAS業界に転職をご希望される方には、大きく3つの傾向があると見られます。一つは「戦略コンサルタント」として、さまざまなプロジェクトに参加する中で、特定のサービスライン・業界への専門性を高めて働けるところへ転職したいという方。こちらはコンサルタントとしての基礎力は身に付いているので、転職しやすいケースです。

2つ目は、下流から上流に行きたい方です。例えば業務系コンサルの経験をされた方が、監査法人・FAS業界の中の戦略コンサル部門を希望するといったケースですね。この場合、仕事の進め方や頭の使い方が異なってくるので、ポテンシャルの有無を選考でしっかり見られる傾向にあります。

そして3つ目は、コンサルタントとしてのキャリアの幅を広げるため、全く違う領域にチャレンジしたいと希望される方。例えば、人事コンサルの経験を積んできた方が監査法人・FAS業界を志望されるといったケースですね。

もちろん積んできた経験やバックグラウンドにもよりますが、経験を積んできた領域が違えば「その分野に関しては、ポテンシャルを考慮した採用」という扱いになります。また、「なぜこれまでの経験分野があるのに別分野へシフトしたいのか」という理由をしっかりと説明する準備も大切になるかと思います。

―コンサルティング業界から監査法人・FAS業界へキャリアチェンジしたい方は、どのような準備をすればいいでしょうか?

佐藤:その領域で必要な資格を取るなど、勉強は必要ですね。例えば財務会計系のコンサルタントになりたい方であれば、まず日商簿記2級は最低限取ったほうがいいでしょう。米国公認会計士(USCPA)は日本の公認会計士と違い(*2)、試験に合格すれば会計士の登録が可能です。そのため、実務についてから1年以内に取る方も多いのですが、事前に資格を持っていると有利に働くでしょう。また、USCPAであれば科目合格以上・日本の公認会計士であれば「短答式」と「論文式」の2つの試験があるうちの短答式合格以上であれば、書類の通過率は大幅に上がります。

*2 日本で公認会計士登録を行うには、公認会計士試験に合格した上で、通算2年以上の会計業務補助あるいは実務従事が必要。実務補習を終了し、修了証書をもって内閣総理大臣の確認を受けることで初めて公認会計士として登録がされる。

―監査法人・FAS業界から事業会社へ転職を希望される方は多いのでしょうか?

佐藤:多いですね。というのも、監査法人・FAS業界で働いている方は、就職する時点でキャリアプランをしっかりと立て、「将来的には事業会社へキャリアチェンジをする」という前提で、コンサルタントになっている方も多いです。また、結婚して子育てに時間を割きたいという場合、「プロジェクトベースのファームではなく、事業会社で働く方が予定を立てやすいのでは?」と考え、転職を検討する方もいます。

―外資のコンサルティングファームなどは、業務時間の調整がしやすかったり、リモートワークが推奨されていたり、働き方の自由度もかなり高い印象があります。それでもやはり事業会社のほうが働きやすいのでしょうか?

佐藤:どちらが働きやすいかというよりは、どういったワークスタイルを望むかによると思います。未経験で監査法人・FAS業界へ転職を希望する方には必ずお伝えしているのですが、ご自身でちゃんと主張して自走できる方でないと、ファームで働くのは若干息苦しく感じる部分もあるかもしれません。

子育てと仕事を両立されているコンサルタントの方にお話を伺うと、皆さん良い意味で組織をうまく使っていらっしゃる印象です。「今日は絶対に子どもの迎えで定時に帰る」など、自分が望む働き方ができるように、きちんと主張をされている。もちろん、結果を出しているからこそできるようになることであるとは思いますが、そういった調整ごとが苦手な方は、事業会社の仕事の進め方のほうがマッチするのかなと思いますね。

決して、「コンサルティングファームだと、役職に就かないと業務調整できない」というわけではなく、非役職者の方でも周囲に自身の状況を共有し、協力を得ながら活躍されている方もいらっしゃいます。ですので、ご自身の望む組織での働き方をよく考え、選択できると良いですね。

バイネームで仕事が取れるのは、監査法人・FAS業界だからこその魅力

―これまではFASも含めた転職動向を聞いてきましたが、監査法人で働いている方の特徴はいかがでしょうか?

佐藤:「やりたいこと」よりも、「できること」から逆算してキャリアを考える方が多い印象です。もちろん、それもキャリアを考える上で間違いではないのですが、そもそも「資格があれば安泰だろう」と考えて公認会計士の資格を取った方も多く、転職を考える上で「何をやりたいのか」という考えが抜けてしまっている方もいます。この先々、どのようなキャリアを描いていきたいのかというイメージはぜひ持っていただきたいですね。もし具体的なイメージが湧かないという方は、面談にお越しいただければキャリアの選択肢や、その先にどのような道があるのか情報提供・ご提案することも可能です。

年収、働き方、会社規模、「守り」か「攻め」か、裁量権の有無など、同じ会計士の仕事をしていても個人によって志向はさまざま。そういった志向を深掘りしながら、セルフカウンセリングのお手伝いをすることも可能ですので、今後のキャリアに対する何かしらのヒントを持ち帰っていただけるのではないかと思っています。今すぐ転職を考えていない方にも、ぜひご利用いただきたいですね。

―「すぐに転職するわけではないのだけど……」といった温度感の方が相談に来ても、問題ないのでしょうか?

佐藤:もちろんです。パソナキャリアにご登録いただき情報交換をしながら、実際に転職活動を開始したのは1年後、といったように、検討段階から長期的にご利用いただくケースも多いですよ。パソナキャリアはサポート期間に期限がないため、長期的なスパンで情報提供やフォローができる点は強みだと思っています。

例えば、FAS業界へチャレンジしたいけど、どんなキャリアを持った人材の採用ニーズが高いのかご存知ない方も多いかと思います。いざ転職しようとした時に、「知らなかった」となってしまうのは一番避けていただきたいですから、なるべく早い段階で、今後のキャリアを考えるためにも一度、私たちにご相談いただきたいですね。キャリアの幅を広げたい方や、キャリアチェンジをお考えの方に、企業担当と兼務しているキャリアアドバイザーの視点から、新しいご提案ができることもあると思います。

―最後に、監査法人・FAS業界で転職を検討されている方へメッセージをお願いします。

佐藤:監査法人・FAS業界含む、コンサルティング業界全般が、私はとても好きなんです。年齢や性別に関係なく、頑張り次第で個人がきちんと評価されるので、成長意欲が高い方にとってはとても楽しい業界だろうなと思います。若手でも頑張り次第で「うちのプロジェクトにほしい」と社内ヘッドハンティングされますし、主体的に動けばたくさんチャンスを得られます。

また、長年業界で活躍している方々からは、マネジャー以上になってからがより楽しいと伺います。責任は重くなりますが、クライアントと直接交渉ができるようになるので、上に行けば行くほど、企業の本質的な経営課題の解決に直接関わることができる。とても魅力的な仕事ですよね。

そして一番面白いと思うのは、「人」に紐づいてクライアントが動くということ。優秀なコンサルタントが転職して別のファームに移ると、クライアントもその人がいるファームへ仕事の発注先を変える、ということが起こる業界です。「バイネームで仕事が取れる」というのは、事業会社ではなかなかないこと。「信頼」で成り立っている仕事で、本当にかっこいいなと思います。

だからこそ、私はこの業界でキャリアを築いていきたい方をしっかり支援していきたいと考えています。私自身も転職を経験していますが、転職活動にはかなりのパワーが必要です。ご自身が本当にやりたいことでないと頑張れないと思いますし、何より私たちがやるべきことは、長期的にご活躍いただくためのサポートです。「入社して終わり」ではなく、その先のことも見据えたアドバイスができればと思っています。


(取材・文/天野夏海)

〈話し手 プロフィール〉

キャリアアドバイザー 佐藤 陽香

金融機関勤務後、パソナへ入社。現在は、コンサルティング業界、監査法人・FASなどの企業群を担当している。企業担当とキャリアアドバイザーを兼務しており、現場からの生の声を求職者に届けられる点が強み。

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