30代の転職が難しい理由を解説！成功させるポイントや未経験分野への挑戦についても紹介

厚生労働省の調査によると、30代の転職率は20代よりやや低い傾向があります。
20代後半の転職率は男性が15.6%、女性が19.1%ですが、30代前半になると男性が10.0%、女性が14.2%となっていて、30代になると転職率が下がることがわかります。

出典：厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概要」

しかし、決して30代の転職が難しくなることを指すわけではなく、責任ある立場や家庭との両立を考え、転職をより慎重に進める人が増えてくるためと考えられるでしょう。

また、待遇面では30代は20代よりも年収が上昇傾向にあり、スキルや実績が正しく評価されればキャリアアップにつながる可能性は十分あります。

30代の転職が難しいと言われるおもな理由は、以下のとおりです。

難しいと言われる理由を知っておくと、自分の状況を客観的に整理でき、準備すべきことが明確になります。

企業が即戦力を優先するため

30代の転職が難しいと言われる理由のひとつが、企業が即戦力を重視する点です。

20代のように将来性や伸びしろを評価されることは減り、これまでの経験をどう成果につなげてきたかが問われやすくなります。

そのため、ただ「経験があります」と伝えるだけでは十分に伝わらず、評価が得にくいことがあります。数字やエピソードを添えて実績を示せると、採用側もあなたが即戦力であることをイメージしやすくなるでしょう。

未経験分野への挑戦ハードルが高いため

30代で未経験分野へ挑戦しようとすると、20代に比べて難易度が高いと感じることがあるでしょう。30代には「すぐに活躍してほしい」という期待が強く、未経験での応募はどうしても不利になりがちです。

また、求人の数自体も20代に比べて少なく、とくに「未経験歓迎」と書かれた募集は限られています。

さらに、30代は前職での仕事の進め方や考え方が身についているため、「新しい環境に柔軟に適応できるか」を採用側が慎重に見極める傾向があるのも理由のひとつといえるでしょう。こうした点が重なり、未経験分野への転職はハードルが高くなってしまいます。

家族の理解が必要になる可能性があるため

30代で転職を考えるとき、自分だけでなく家族の生活に影響が及ぶことが多いため、家族の理解が必要になります。収入が一時的に下がる可能性や勤務地の変更などは、日々の暮らしに影響するため、家族が不安を感じるのは自然なことです。

とくに30代は結婚や子育て、住宅ローンといったライフイベントと重なる時期でもあり、転職の決断は慎重にならざるを得ません。

そのため、家族が「本当に大丈夫なのか」と心配し、転職に消極的な意見を出すケースもあるでしょう。家族を説得しなくてはいけないと思う気持ちが、30代での転職を難しくしています。

30代の転職で得られるおもなメリットは、以下のとおりです。

これまでの経験を武器にできる年代だからこそ、年収アップやキャリアの幅を広げるチャンスが広がっています。

年収アップを実現しやすい

30代の転職で期待できるメリットのひとつが、年収アップです。

20代はポテンシャルが重視されますが、30代では具体的な実績やスキルが評価されるため、現職では正当に評価されにくい成果も、転職によって収入につながりやすくなります。

国税庁「民間給与実態統計調査（令和5年分）」（※）によると、20代後半の平均給与は約392万円ですが、30代前半では約431万円、30代後半では466万円とアップしています。

30代がキャリアの強みを活かして収入を伸ばしやすい年代であることを示しているといえるでしょう。

転職を通じて正当な報酬を得られれば、収入面だけでなく、自信やモチベーションの向上にもつながります。

※出典：国税庁「民間給与実態統計調査結果（令和5年分）」

キャリアの選択肢が広がる

30代の転職はキャリアの幅を広げるチャンスです。これまでの仕事で培った経験やスキルは、異業種や新しい職種でも役立つことがあり、転職先の選択肢が広がります。

たとえば、営業経験を活かして成長中のIT企業に挑戦したり、製造業の知識をもとにコンサルタントを目指したりと、新しいキャリアに挑戦できるでしょう。

転職をきっかけに働き方やキャリアの可能性を広げられるのが、30代の魅力です。

経験を活かして即戦力になれる

企業は「これから成長する人」よりも「すぐに活躍できる人」を求める傾向にあり、日々の業務で積み上げてきたことが評価されやすくなります。

たとえば、後輩をサポートした経験や、プロジェクトをまとめた経験があれば、肩書がなくてもリーダーシップがあると評価される場合があります。自分では当たり前だと思っていたことが、実は他の会社から見ると強みになっていることもあるでしょう。

これまでの経験を自信を持って伝えることで、より大きな裁量を任されたり、責任あるポジションにつながったりする可能性もあります。

より良い労働環境を目指せる

30代になると、結婚や出産などのライフステージの変化によって、給与やキャリアだけでなく働きやすさも大切にしたいと考える人が増えます。

リモートワークやフレックスタイム制を取り入れる企業も増えており、自分の生活に合った働き方を選びやすくなりました。

たとえば「18時に退社して家族と夕食をとる」「フルリモートで通勤のストレスをなくす」といった働き方も可能です。

転職をきっかけに、自分に合った環境を手に入れられるのはメリットになります。そして、仕事とプライベートを両立できれば、安心して長く働き続ける基盤を築くことにつながります。

30代の転職を成功させるために企業からとくに重視される3つのコアスキルについて解説します。あなたがこれまでのキャリアで培ってきた経験のなかに、転職市場で高く評価される価値が眠っています。

30代の転職でとくに求められるスキルは、以下のとおりです。

いずれも決して特別なスキルではなく、これまでのキャリアで培ってきた経験のなかにすでにあるものです。

マネジメント経験やリーダーシップ

30代の転職で高く評価されるのは、実際にチームをまとめたマネジメント経験です。

たとえ管理職の肩書がなくても、後輩の育成やプロジェクトの進行を担った経験は、リーダーシップとして評価されます。

企業が求めているのは、自ら考えて行動し、周囲を巻き込みながら成果を出せる人材です。たとえば「5人のチームで進捗管理を行なった」「新人を3か月で独り立ちさせた」といった具体的なエピソードは、強いアピール材料になります。

キャリアを丁寧に振り返り、実績を言葉にできれば、「この人なら現場を任せられる」と信頼される後押しになるでしょう。

即戦力としてのスキル・経験

30代になると、企業は即戦力を求める傾向が高くなります。だからこそ、自分の経験を数字や成果でわかりやすく伝えることが大切です。

たとえば、営業職なら「新規契約数を前年比150％に増やした」、マーケティング職なら「広告運用を改善してCPAを20％削減した」といった伝え方です。

結果だけでなく過程を話せると、面接官にキャリアの再現性が伝わりやすくなります。

問題解決能力

どのような仕事でも重視されるのが問題解決能力です。業界や職種が変わっても役立つスキルで、30代の強みとして評価されやすいポイントです。

問題解決能力には、以下の3つがあります。

たとえば「クレームの原因を調べ、マニュアルを見直した結果、件数を半分に減らせた」といった経験は明確なアピール材料になります。大きな成果でなくても、少しの工夫で改善できた事例も実績のひとつです。

これまで取り組んできた工夫や改善を具体的に伝えれば、面接官もあなたが自社で活躍するイメージをもちやすくなるでしょう。

30代で転職を成功させるためのおもなポイントは、以下のとおりです。

30代の転職を成功させるには、思いついたままに応募するのではなく、事前の準備が大切です。

自己分析で強みとキャリアゴールを明確にする

30代の転職を成功させるためには、まず自分自身をよく知ることが大切です。

目先の年収や会社の知名度だけで判断すると、入社後に「思っていたのと違う」と感じてしまう可能性があります。

自己分析に役立つのが「Will（やりたいこと）」「Can（できること）」「Must（譲れない条件）」の3つの視点からなるフレームワークです。

たとえば、以下のように整理すると転職の軸が明確になります。

転職の軸があることで、求人の見方が変わり、本当に納得できる選択がしやすくなります。

スキル・実績を棚卸しする

自己分析で強みが見えてきたら、それを成果として整理しておきましょう。

30代の転職では、入社後すぐに活躍できるかが見られるため、数字や具体例を使ったアピールが効果的です。

そこでおすすめなのがSTARメソッドです。STARメソッドは、状況（Situation）、課題（Task）、行動（Action）、成果（Result）の流れでエピソードを語る方法で、自分の経験を具体的に話すために使われます。

たとえば、以下のようにまとめると、実績がわかりやすく伝わります。

フレームワークを活用しながら、これまでの経験を整理しておくことで、自信を持って語れる実績になります。

希望条件の優先順位を整理する

転職で後悔しないためには、何を最優先にするかを決めることが大切です。「高年収・残業なし・やりがいも大きい」といった完璧な条件の会社にはなかなか出会えません。

そのため、すべてを求めると応募先が見つからなかったり、内定が出ても「もっと条件のよい会社があるかも」と決断できなくなってしまいます。

おすすめは「絶対に譲れない条件」と「できれば叶えたい条件」を分けて順位づけすることです。

たとえば、以下のように譲れない条件順に並べてみるとよいでしょう。

基準を持っていれば、応募先を比較するときに迷いが減り、納得感のある判断ができます。

企業研究を徹底する

転職後のミスマッチを防ぐには、求人票や企業HPだけではわからない実態を調べることが大切です。

採用情報は企業側にとってPRであるため、労働環境や社風を知るには別の角度からの確認が必要になります。

たとえば、企業の口コミサイトで残業時間や人間関係を確認したり、面接で「活躍している人の特徴は？」と質問して職場の雰囲気を探ったりするのも効果的です。

30代での転職を成功させるためには、自分が選ばれるだけでなく、選ぶ立場である意識を持ちましょう。多方面から情報を集めて分析しておけば、安心して働き続けられる企業かどうかを見極めやすくなります。

転職エージェントを活用する

30代の転職をスムーズに進めるには、転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントは非公開求人を紹介してくれるだけでなく、職務経歴書の添削や面接対策、年収交渉まで幅広くサポートしてくれます。

大手総合型・業界特化型・ハイクラス向けの3種類を併用するのがおすすめです。総合型は求人数が多く、特化型は業界知識に基づいた提案が強み、ハイクラス向けは高待遇の案件に出会える可能性が高まります。

ひとりで抱え込まず、プロを転職活動のパートナーにすることが、30代での転職成功へつながります。

30代で未経験職種への転職を成功させるおもなポイントは、以下のとおりです。

30代から未経験の分野へ挑戦するのはたしかに簡単ではありませんが、成功のポイントを知っておけば、新しいキャリアを築くことは可能です。

ポータブルスキルをアピールする

未経験の分野に挑戦する30代にとってのアピールポイントは、これまで培ってきたポータブルスキルです。ポータブルスキルとは、業界を問わず活かせる力のことで、たとえば以下のようなものがあります。

企業が未経験の30代に期待しているのは、専門知識よりもこうした基本的な能力です。

たとえば、営業で培った「相手の課題を引き出し、解決方法を提案する力」は、業界や職種が変わっても武器になります。

未経験だからといってゼロから始めるのではなく、これまでの経験を土台にして新しいキャリアを広げられることを伝えていきましょう。

資格取得で熱意を伝える

30代で未経験の分野に挑戦する場合、資格取得は学ぶ姿勢をわかりやすく示せる方法です。

資格はスキルを客観的に証明できるだけでなく、計画的に学びを続ける力や継続力を示す材料にもなります。

また、資格勉強に取り組んだ経験そのものが、「新しいことを吸収しようと努力できる人」という信頼につながります。

資格への挑戦は、あなたが未経験の環境でも成長していけることを具体的に示すアピールポイントになるでしょう。

未経験歓迎の求人に応募する

未経験から転職を考える場合は、「未経験歓迎」と書かれた求人を選ぶのが安心です。

未経験歓迎の求人は、これまでの社会人経験や基本的なビジネスマナーを前提にしているため、専門スキルがなくても挑戦しやすい可能性があります。研修制度や教育体制が整っていることもあり、入社後に学びながら成長できる点も魅力です。

また、未経験者を積極的に採用する企業は「新しい環境に適応する柔軟さ」や「人柄」を重視する傾向があります。そのため、仕事で誠実に取り組んできた経験や、コミュニケーション力が評価につながりやすいのも特徴です。

30代の転職は「もう遅いのでは…」と不安を抱きやすい時期ですが、実はキャリアを伸ばせるチャンスです。これまでの経験やスキルを整理し、自己分析や企業研究を進めれば、年収アップや働き方の改善も十分に可能です。

ただし多忙な30代がひとりで最適な選択をするのは簡単ではありません。そこで活用したいのが転職エージェントです。

パソナキャリアでは、非公開求人の紹介や職務経歴書の添削、面接対策、年収交渉まで無料で支援いたします。

プロの転職コンサルタントによる客観的な視点を得ることで、自分では気づかなかった強みや新しい選択肢に出会えることもあります。

まずは相談から始めて、自分の市場価値を確かめてみましょう。