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【ハイクラス転職】事前に知っておきたい、内定から入社までに起こりうるトラブルと回避テクニック

【ハイクラス転職】事前に知っておきたい、内定から入社までに起こりうるトラブルと回避テクニック

最終面接を通過し、企業から内定をもらっても、ご家族の反対(嫁ブロック・家族ブロック)や現職からの引き留めなど、入社までに乗り越えなければならないハードルが幾つもあります。今回は、パソナでエグゼクティブの転職サポートを担当するキャリアアドバイザーの小川万里奈に、管理職の方が内定から入社までに起こりうるトラブルや、その解決方法について聞きました。

管理職の転職、内定後に起こりうるトラブル

-管理職の方が内定をもらった後には、どんなトラブルが起こりやすいでしょうか?

小川: ご家族に転職を反対されること(嫁ブロック・家族ブロック)が多いですね。ご本人は、業務内容に魅力を感じて転職を決意されることが多いのですが、ご家族の方は業務内容よりも、条件や勤務地などを重視される傾向にあります。

私がサポートさせていただいた方で、希望していた海外企業から内定をもらった方がいらっしゃいました。現職よりも年収がアップし、業務内容にも大変興味を持たれていたので、ご本人は喜んで内定を受諾されるつもりだったのですが、ご家族から反対を受けてしまいました。当初は、単身赴任で働かれることをご家族の方も了承されていたのですが、内定後、不安になってしまったようです。何度も話し合いをされたそうですが、同意をいただけずに内定を辞退されました。

また別のケースですと、年収は少し下がってしまうけれど、希望していた企業なので、内定を受諾されたいという意向を伺っていましたが、ご家族の方が年収ダウンに難色を示されていると相談を受けました。退職金が出ないことも大きな不安要素の一つと伺いましたので、給与制度の詳細をまとめた資料をご用意し、レジュメに沿って生涯年収をご説明いただくようお伝えしました。最終的に同意をいただき、希望通り入社されました。

-嫁ブロック・家族ブロック以外で、内定後に起こりえる問題はありますか?

小川: 管理職の場合、「現職からの引き留め」もよく起こる問題です。管理職は、退職交渉をする相手が社長や役員クラスになることが多く、年収アップや待遇改善など処遇の変更を提示され、退職交渉が難航するケースも度々見られます。

以前も、社長へ何度も退職交渉を試みるも全く相手にしてもらえない、とご相談を受けたことがあります。民法上では、期間の定めがない雇用契約の場合、退職日の2週間前までに退職届を提出すれば良いと定められています。

この方の場合、退職希望日の1カ月以上前に退職の意思を伝えましたが慰留され続けたため、退職届をメールで送信するようにお伝えしました。メールでしたら、仮に受信メールを消去されてしまっても送信履歴は残るので、退職意思を伝えた証拠が残ります。最終的にはメールで送った退職届が無事に受理され、しっかりと業務の引継ぎをされてから、予定通りのスケジュールで退職、そして入社することができました。

-退職交渉で良い条件を提示されたら、一度は退職を考え直すべきでしょうか?

小川: 退職交渉の際に年収アップや待遇改善を提示されたとしても、その場しのぎに過ぎません。本当に評価してくれているのであれば、退職を切り出す前に提示されていたはずです。仮に、条件をのんで現職に留まったとしても、「退職交渉をして年収・役職を上げてもらった人」という目で周囲からも見られてしまうでしょう。

退職交渉を始める前に、あらゆるパターンの引き留め事例についてお伝えしていますが、いざとなるとやはり、気持ちが揺らいでしまう方もいらっしゃいます。そういう時には、そもそもの転職理由について、もう一度振り返ってみてください。

内定後、入社の判断は慎重に

-内定が出てから迷われる方はいますか?

小川: 転職活動中は、複数社同時に応募されているので、内定が複数出るとやはり目移りしてしまうことはあります。例えば、A社はベンチャー企業で多忙ながらもやりがいや、勢いがあって魅力的。B社は大手企業で安定しているので安心できるなど、異なる環境の企業なのに、どちらも良く見えてしまう。

そもそもの転職理由が「忙しくて家族との時間が取れないから」であったのに、多忙なベンチャー企業のA社に決めてしまうと、また同じ理由で転職をすることになる可能性が高いですよね。さまざまな会社を見ていくうちに転職軸がブレてしまうのです。ですから、そういった時には、A社のこの条件は〇、B社はこの点が△など、内定が出た企業の比較表を作成し、転職軸の整理をしていただくようにお伝えしています。

-提示年収で悩まれるケースもありますか?

小川: 第一希望と思っていた企業から、第二希望、第三希望で考えていた企業よりも低い年収が提示されてしまい、悩まれるケースもあります。基本的には、応募の際に希望年収を提示していますので、大幅に下回ることは少ないです。しかし、希望年収よりも高い金額を提示してくれる企業が現れると、年収と職務内容のバランスで決めようと思っていた場合に、迷われてしまうようです。

その場合は、提示年収だけではなく、生涯年収で比較することがポイントです。入社時の年収だけを見るのではなく、入社後の金額の伸び幅はどの程度なのか、役職に就いたらどうなるのかも含めて、総合的に判断することが大切です。ですので、どうすれば年収が上がるのか、ステージや役職が上がった場合には、いくらぐらい年収が上がるのかなど、今後の伸び幅を企業に確認して、ご本人にお伝えしています。

-オファー面談で懸念事項を確認しても大丈夫ですか?

小川: もちろん大丈夫です。オファー面談は内定者に対して企業が雇用条件などをすり合わせる面談の席なので、懸念事項があれば確認しておきましょう。応募の際に虚偽の記載などがない限り、オファー面談で企業側から内定を取り消すことはありません。条件面はもちろんですが、職場の雰囲気や所属部署のこと、入社してからの担当業務などを確認しておくと、入社後に起こりうるトラブルを回避しやすくなります。オファー面談の有無は会社にもよりますが、機会があればぜひ、有効活用してみてください。

内定から入社までの流れ

-退職交渉はどのタイミングで始めると良いですか?

小川: 内定を受諾したら、すぐに退職交渉を始めてください。現職のことを考えると、少しでも引継ぎ期間を長く設定しておきたいですね。上司のスケジュールを確認し、一日でも早く面談を設定して、退職希望日を伝えるようにしてください。

また、退職交渉が難航する可能性もあるため、転職活動を始めた段階で、引継ぎマニュアルの作成を開始するようにお伝えしています。退職日が迫っているのに後任者の補充が間に合わないケースもあります。最終手段にはなりますが、業務マニュアルが作成してあれば、上司にマニュアルを渡す形で引継ぐこともできます。

-退職交渉の上手な進め方を教えてください

小川: 最初に、転職先の入社日を報告して、退職希望日をはっきりと伝えてください。「〇月〇日入社が決定しているので、△月△日で退職させていただきます」と断言することで、退職日の引き延ばしを避けることができます。また、力強く話を切り出すことも重要です。「辞めたいなぁと思っていて…」など弱々しい印象で話し始めてしまうと、相手が引き留めやすくなります。

また、転職先を聞かれても「○○業界です」と答える程度にとどめ、社名は明言しないようにお伝えしています。入社を予定している企業の悪い部分を話して、引き留めようとする場合もあります。新天地のマイナスな話を聞いてもネガティブな気持ちになるだけで、良いことは一つもないですよね。

-もし退職交渉が難航した場合、どう対応したら良いですか?

小川: 退職交渉に時間がかかりそうでしたら、早めに転職先へ連絡を入れてください。内定から2カ月以内の入社が一般的ですが、やむを得ない事情があれば事前に伝えておくことで入社日を後ろ倒していただける可能性もあります。

転職を検討している管理職の方に、パソナキャリアができること

-管理職の転職活動に、パソナキャリアを活用するメリットについて教えてください。

小川: 内定が出てから入社されるまでの間も、不安や心配が尽きないですよね。パソナキャリアでは、内定が出た後も、生涯年収の算出や年収の伸び幅を含め、ご自身では聞きづらいことについても企業へ確認し、内定を受諾されるかどうか一緒に考えさせていただきます。内定受諾後も、ストレスのかかりやすい退職交渉のご相談や入社書類についてのご質問等も承っています。

私たちは、これまで多くの管理職の方々をサポートさせていただきました。その知見を活かしてあらゆるトラブルの回避方法や、内定後に起こりうる可能性がある問題についても事前にお伝えし、アドバイスいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

(取材・文/廣田 美千代)

〈話し手 プロフィール〉

キャリアアドバイザー 小川 万里奈

エンタメ総合商社で玩具の営業として就業後、個人の人生に付加価値を提供できる環境での活躍を望み、パソナキャリアに入社。管理部門やバックオフィスのご経験をお持ちの方を中心とする専門職およびハイキャリア領域のキャリアアドバイザーを担当。

【得意分野】

大手から中小企業、ベンチャーまで幅広くサポートさせていただいていますが、特に以下を得意としています。
・人事・経理・法務・経営企画などの管理部門系職種
・20代~40代まで幅広く転職をサポート

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